2026/08/24 21:25


ナイトと可憐な少女の物語〜それぞれの想い、積み重ねて

「ナイト様、今度はいつ会えますか。」

霧の街の小さな仕立て屋へ、ようこそ。
── 物語の背景 ──
淡いポピー色の紙の上に、滑らせるペン先がかすかに震える。

ノートに綴るのは、切ない恋心や、まだ見ぬ理想の大人としての姿。
今日あった小さな経過や、誰にも言えない秘密の気持ちが、丁寧な文字で幾重にも重なっていく。

このページをめくれば、少しだけあの人に近づけたような気がするから。
いつだって、このノートを開くときは胸の奥が甘く疼く。

「ナイト様、どうすれば届きますか?」

――パチン。

「次の任務地は、どこだったか。」

遠く離れた旅の空の下。
鎧の重みに疲れた肩を休めながら、ナイトは手元のリフィルケースを開く。

仕舞い込んでいるのは、遠征先で見つけた珍しいポストカードや、お気に入りのシール、そしてその土地に足を運んだ証であるカードたち。

あちこちを巡る旅の途中で集めたコレクションのなかに、なぜか1枚だけ、鮮やかなポピーの写真が紛れ込んでいる。

荒々しい風にさらされる旅の途中でも、不意に視界に入ったそのあたたかな色が、彼の堅い心をほんの少しだけほぐしていく。

「どんな珍しいものより、この写真が一番落ち着くな。」

ふたたび戦場へと赴くため、彼は静かに、旅の記憶をそのケースに仕舞い込むのだった。